当院では腱板断裂、習慣性肩関節脱臼に対する鏡視下手術などを実施しています。さらに、四十肩、五十肩が難治化したfrozen shoulderに対しても鏡視下手術の適応があります。
腱板断裂自体は必ずしも珍しい病態ではなく、加齢とともに潜在的な腱板断裂も増えて行くと報告されています。その一方で、腱板が断裂した筋腹は時間とともに脂肪変性が進行し、その後に修復術を行ったとしても機能回復は望めなくなりますので、有症候性であり、自然回復の望めない腱板断裂は時機を失することなく修復する必要があります。鏡視下腱板修復術は1cm程度のポータルが4〜5箇所残るのみであり、術後リハビリも早く、3週程度で装具も外れますので、適応範囲も広がっています(図1)。
【図1】鏡視下腱板修復術
複数回の脱臼を繰り返している方であれば手術も考慮されますが、適応は必ずしも絶対的なものではありません。上肢に負担のかかるスポーツなどを行っている方には上腕二頭筋腱の移行を伴うBristow法にもメリットはありますが、通常の生活を送られている方であれば、数カ所のポータル跡しか残らない鏡視下Bankart修復術は良い適応になります。
大腿骨頚部骨折などの外傷治療や変形性股関節症や特発性大腿骨頭壊死に対する人工股関節置換術などを行っています。
装具療法や筋力強化などの保存療法には限界があるため、日常生活に支障があるほどの高度な疼痛がある場合には人工股関節置換術が良い適応となり、安定した成績も得られています(図1)。当院では、最小侵襲手術思想に基づく前方侵入法で手術を行っていますので手術時間も短く、自己血貯血も殆ど必要なくなりました。創痛も少なく、術後脱臼の心配も無いなど、メリットの大きい術式ですが、術中骨折や大腿神経麻痺などの合併症を減らすためには熟練も要求される手術です。
【図1】