平成16年5月に、循環器疾患の集約的医療を行うため、循環器病センターを開設しました。現在、CCU5床を含めた38床と心臓カテーテル検査室、血液浄化室を有し、各種循環器疾患の診断と治療にあたっています。
目標
日本での虚血性心疾患は、欧米各国に比べると少ないですが、高齢者人口の増加につれて患者数は増え続けており、日本の3大死因の一つとなっています。急性心筋梗塞だけで言えば、その発症数は年間約15万人で、そのうち30%の方が亡くなられています。
心臓は1日に約10万回、生涯休みなく拍動するポンプです。このポンプを動かすエネルギー源は冠動脈を流れている血液で、その血液が心筋細胞へ栄養を運んでいるため、心臓は絶え間なく働き続けることができます。この冠動脈の血管壁にコレステロールがたまり動脈硬化が進むと、血管の内側が狭くなり、心臓に十分な血流を送ることができない状態になります。それを「狭心症」といいます。さらに血管が狭くなって血流が途絶えたり、血栓や異物などで完全に塞がったりすると、その部分の心筋細胞が壊死してしまいます。これを「心筋梗塞」といいます。このような虚血状態になると、胸痛や胸の圧迫感といった、心臓からのSOS信号が発信されます。一般的には冠動脈形成術によって治療を行いますが、場合によっては冠動脈バイパス術と言われる手術を行います。このため、心臓血管外科との連携がとても重要になります。
通常、人の心拍は一定のリズムで拍動しています。そのリズムが何もしていないのにバラバラになったり(期外収縮、細動)、早くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)することを「不整脈」といいます。不整脈は特に症状がなければ、問題ない場合が多いのですが、以下の症状がある場合、注意が必要です。
また、高齢化社会を迎えたことで、最近注目を集めている「心房細動」と呼ばれる不整脈も注意の必要な不整脈の一つです。そのほとんどは、お薬で予防したり、高周波カテーテルアブレーション治療を行ったり、ペースメーカーと呼ばれる医療機器を体内に埋め込むことで治療を行います。
経皮的冠動脈形成術とは、カテーテルと言われる、細い管を冠動脈まで挿入し、狭窄している部位に小さい風船を持っていき、狭窄部位で膨らませることで、狭窄している血管を押し広げます。その際に、「ステント」と呼ばれる金属の管を狭窄部位に置くことで、再度狭窄することを防ぎます。また、血栓や異物によって血管が塞がれている場合は、吸引することで血栓や異物を除去する方法もあります。
高周波カテーテルアブレーション治療は、国内では約20年前から行われ始めた治療で、現在では年間一万数千例が行われている治療方法です。心臓電気生理検査にて判明した、不整脈を発生させる「異常な電気を発信する心筋」や「異常な電気の通り道」を、カテーテルの先端から発生させた高周波電流にて焼灼します。そうすることで、異常な電気の発生を抑止させたり、異常な電気を通さなくすることで、不整脈が起こらなくなります。
徐脈治療には、ペースメーカー治療が広く一般的に行われており、日本では年間4万個以上が埋め込まれています。徐脈は、「心臓を動かす電気の発生源から電気が正しく発生しなかったり」、「電気の通り道が正しく機能しない」ことが原因で起こります。このため、ペースメーカーと言われる医療機器を埋め込むことで、電気の発生を補助したり、電気の伝達を補助して徐脈を是正します。